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高森明勅
2016.10.31 01:00

皇室典範すら読んでいない「専門家」

有識者会議に“専門家”としてヒアリング対象に選ばれた
東京大学名誉教授、
平川祐弘氏の暴言を先に紹介した。

あの発言は、責任感を持ってご公務に精励される皇太子殿下と、
ご療養に努めながらご公務への復帰を懸命に進めておられる
雅子妃
殿下に対し、無礼この上ない。

ばかりか、同氏がこれまで皇室典範を読んだことがない事実も、
同時に“
暴露”している。

と言うのは、畏れ多いことながら、現在の典範には、
皇族としてその地位を保持することを不適当とする事情」
(「
皇室典範案に関する想定問答」法制局)がある場合、
ご本人の意思に関わりなく、皇族の身分を離れて戴く規定が、
既に存在する(第11条第2項)からだ(たとえ皇太子でも、
皇位継承順序の変更と組み合わせれば適用可能)。

平川氏が新たに追加するように主張した
適応障害の皇族の臣籍降下に関する規定」
引用するのさえ気分が悪い表現だが)は、
実は“とっくに”
設けられているのだ。

氏は原稿の執筆に当たり、全ての議論の最も基礎となる皇室典範に、
一度でも目を通すという労さえ惜しんで、皇太子・同妃両殿下を
侮辱する文章を書いたことになる。

皇室典範すら読んだことがない人物が「
専門家」とは。

有識者会議は、平川氏が書いた文章も読まないで、
ヒアリング対象者にしたのか。

それとも、読んでも典範に既にある規定の“新設”を訴えるトンマな
人物とは気付かなかったのか。

前者なら無責任極まるし、後者なら有識者会議自体が、
典範をまともに読んでいないことになるのだが。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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